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黒字倒産の事例を、実際に起こった例を挙げて詳しくご紹介します

お世話になります。
ピーエムジー福岡支店 支店長の松本です。

皆さま、企業は一体いつ倒産すると思いますか?

企業が倒産するのは、損失を出した(赤字になった)時だけではありません。
支払うべき債務が支払えなくなったときに、企業は倒産します。

したがって、たとえその企業の業績が好調であったとしても、
支払うべき債務が支払えなくなってしまえば、会社は倒産してしまいます。

今回のブログでは、業績好調な企業が突然黒字倒産した事例として
実際にあった黒字倒産の事例を紹介していきたいと思います。

2015年4月30日、化学品や合成樹脂等の専門商社である企業が
民事再生法の適用を申請し、事実上の倒産に至りました。

この企業(以下、A社とします)は、2014年の3月期決算までは好業績を続けていました。

その後、中国の取引先から代金が回収できないなど、
傾注していた中国事業での失敗が表面化してしまったようです。

結果として債務超過に陥り、創業以来109年続いた歴史に幕を下ろす形となりました。

しかし驚くべきことに、このA社、倒産の直前まで好業績を続けていました。

明治29年に創業して以降、染料・工業薬品や化学薬品などで業容を拡大し、
平成18年には東証1部に上場します。

その後、2006年頃から中国への進出を強め、化学品や電子部品などの販売で業績を伸ばしました。

2014年3月期決算の連結最終利益は4期連続で過去最高を更新し、売上高は2千億円を突破します。
売上高、営業利益、経常利益、当期純利益とも毎期増収増益で、
2015年3月期も大幅に増収増益の予想となっており、さらには配当金も増加傾向にありました。

これだけをみると、A社の業績に文句の付けようはありません。

しかし、好調な業績とは裏腹に、中国の大口取引先からの代金回収が滞ったほか、
中国子会社の不正取引などによる特別損失計上で、2014年12月末時点で234億円の債務超過に陥ります。

A社の売上高のうち中国市場は7割を占め、
過大な中国依存度が屋台骨に大きな衝撃を与える結果に繋がって、倒産に至ることになりました。

倒産に至った直接的な要因は、中国の子会社で計上されていた売上債権(売掛金)に対して、
多額の貸倒引当金を計上した結果債務超過となり、負債総額約700億円が返済不能となったためです。

しかし、売上高は好調に伸びていたA社ですが、
ビジネスでの現金の流れを示す営業キャッシュフローは、2014年3月期まで5期連続でマイナスとなるなど
現金の管理が杜撰であったことが倒産の直接的な原因であると考えることができます。

本業のキャッシュフローがマイナスとなる一方で、
金融機関からの借り入れなどを反映する”財務キャッシュフロー”は膨らんでいて

営業キャッシュフローが継続的にマイナスとなっているツケを回収できないまま、
借り入れで財務キャッシュフローを向上させていました。

売上高は伸びているのにも関わらず、その売上代金を回収することができなかった・・・
つまりA社は商社として、モノを売るには売ったものの
肝心の資金回収ができていなかったと考えることができます。

これほどの巨額の損失を抱えておきながら、銀行からは多額の融資を受けていたところを見ると、
粉飾決算などの不正があった可能性もありますが、

いずれにしてもA社の倒産事例は、売上代金の回収、
つまり売掛金の回収が経営にとって非常に重要な意味を持っていることを教えてくれます。

営業キャッシュフローのマイナスが問題となる理由は、
それは「本業でキャッシュを獲得するどころか、キャッシュが失われている」状態を意味するからです。

企業が継続・発展するためにはキャッシュが必要不可欠です。
黒字決算が続いていても、キャッシュが足りなくなれば企業は倒産してしまいます。

損益計算書において黒字であるにもかかわらず、
営業キャッシュフローがマイナスの場合には注意しなければなりません。

黒字なのにキャッシュが逆に流出してしまって状態を意味しているわけなので、
なぜそのようになっているのか、その理由を詳しく分析していく必要があります。

こうした経営に関するサポートも、弊社では承っております。

また、提携の士業様とコンタクトを取り、経営改善についても支援させていただいております。

企業の経営に関する問題は簡単に解決できるものではありません。
総合金融サービスのプロとして、最善のご提案をさせていただきます。

ぜひピーエムジー福岡支店までご相談くださいませ。

ピーエムジー福岡支店
支店長  松本

2021.08.06  |  スタッフブログ